あたしは、陽の想いにどう返せばいい?


出来る事ならあたしも陽の言った通り、“凛音”という一人の人間として陽と付き合っていきたい。


けど、それは簡単な事じゃない。


「陽……」


簡単な事じゃないんだよ。


「ごめんね」


だから、こう言うしかないの。


陽にとって一番聞きたくないだろう言葉を告げるしか。



「……っ、なんで?何でだよっ!!」


「陽……」


声を荒らげながら迫る陽に、無言で頭を振る。


陽も分かってるんでしょう?

あたし達が“友達”なんて関係でいられないって事。



そんな簡単じゃないんだよ。

鳳皇と獅鷹の深い溝はそんな簡単に埋められるもんじゃない。


いくらあたし達が一人の人間としてと言って付き合っても、繋がりを完璧に切り離す事なんて出来ないし、絶対何処かで関わってくる。



だから──



「陽──」


「凛音は!!」


「……っ」


「……凛音は、俺が嫌いなのか?」


「っ違う!」



違う!そうじゃなくて……!!



「俺と友達で居るのが嫌なんだろ?」



陽の瞳がゆらゆらと揺れて。


真っ直ぐなその瞳に責められているみたいで、何も言葉が出てこない。