「何あれ……キモッ……なんかこっち見てる人がいるよ?」
「うっわーないわー……」
美樹と牧野は奥の席の男にドン引きである。
「あれ、イケメン君あくびしながら首鳴らしてる、やだー可愛いー」
「そうだね美樹、でも首鳴らすのって体に悪いらしいよ」
「まじで!?今すぐやめさせなきゃ」
美樹はガタッと立ち上がり、メガネの男に一言かけようとした。
「ストップストップ急に話しかけたら不審者だよ?」
牧野はそんな美樹の腕を掴み、笑いながらそう言った。
そんな事牧野と美樹がしているあいだに満は気持ち悪いとは何のことかを考え、やっと合点がいったように頷いた。
(なるほどなるほど、あまり聞こえなかったけど多分目の前のキモヲタがキョロキョロしてた時の事だな)
満がそう思っていると急に女子高校生が立ち上がり満はビクッとしたが、やがてははーんと頷きこう思った。
(なーるほどなるほど?この満様に話をしたいってわけだな、ふむふむ、まあでも順序という物があるからな……)
満はそこら辺を歩いていた店員を呼び止めこう言った。
「すいません、あそこのお嬢さん方にアイスミルクティーをご馳走したいんですが」
店員は一瞬きょとんとした顔で女子高校生と満の顔を交互に見てこう言った。
「わっわかりました……が……どんな関係で?」
そう質問された満は一瞬焦った、確かにこんな40代前半の男が女子高校生にアイスミルクティーを奢るだなんて不審者にも程がある。
「あっいやその……ご近所さんなんですよ!ええはい!」
満は咄嗟に思い付いた嘘をつき、なんとかその場を誤魔化した。
店員は少し怪しみながらもかしこまりましたとお辞儀をして去っていく。