オレンジ色の夕陽が私たちを染めた。

私の隣にはいつもと変わらない龍也の寝顔。

練習はもう終わっているのに私の宿題が終わってないからって待っててくれる。

こんなカップルみたいなことしてるのに私たちは

”ただの友達”。

家も近いってわけじゃない。

でも...

そばに居れるだけで幸せだからこれ以上は求めない。

「私は龍也が好きなのに...」

そっと呟く。

そしてまた宿題へと集中する。

そのすぐ後に龍也が起きた。

「うーん。今何時?まだおわってないの?」

「ごめんね。終わりそうにない。先に帰ってていいよ。」

「わかった。じゃあ俺、先帰るわ。頑張れよ。」

そう言って私の頭をポンポンして背を向け歩いて行ってしまった。

「だよね。待ってくれるわけないよね。」

素直になれない自分に苛立ちを覚えながら、宿題を進める。





あれからどのくらいの時間が過ぎただろうか。

時計を見れば、19:00。校門完全ロックまで残り10分。

「やばい!!外まっくら!!早くしなきゃ!!」

思っていたより秋空は暗くなるのが早くて、校門さえも見えないほどだった。

なんとかくぐることのできた私は怖がりながらも家を目指した。





トントントントントントントントン 足音が迫る。

「え...なに...やだ...やめて...もう...龍也...」

龍也に届くはずのない小さな小さな声で助けを求めた。


足音が消えた。なんとか巻いたみたいだ。



そう安心したと同時に雨が降り出した。