「…大宮さん、あなたが訪ねてきたとき、もっと話をしていればこうならなかったはずだ。俺にも非はある」

「え…」

「よも」

 お母さんを見ると、黙って聞いてというようにそっと手で口を塞がれてしまいました。

 お父さんに視線を戻すと、背を向けているお父さんが後悔しているようなそんな雰囲気を出していました。

「誤解していたんです。あなたが、会社の後継者を探しているのを知っていたから、自分の子に継がせたいと言った、あなたの言葉に、誤解したんです。今さら、分かっても遅いですが…」

「…それは、本心でしたから。誤解ではないですよ」

「でも、俺は自分の会社のために蓬を連れ戻しに来たと思った。だから、拒否したんです。…曲がりなりにも、親のつもりで、蓬を育ててきたんです。大宮さんにも、負けない自信はあります」

 お父さんは振り返ると、手を差し出してきてくれました。

 お母さんに背を押され、お父さんに肩を抱かれました。