リビングに飛び込んできた神野くんと雷斗くんにお母さんの上半身を起こしてソファにもたれさせてもらいました。

 智希と望亜はお母さんの手をしっかり握って応援しています。

「お母さん、ゆっくりね。フッーって息吐いて。力まないでいいからね」

 赤ちゃんの頭をそっと支えて、自然に出てきてくれるのを待ちます。

 頭が出てくると、頭を両手で支えて、片側の肩が出てくる。
 そして、もう片方の肩、後は抵抗なく足まで出てきて、無事に生まれてくれました。

「…ふにゃ!ふにゃあ!ふにゃあ!」

「…う、産まれ…た…」

 へなへなと腰が抜けてしまったのか呆然とする雷斗くんと神野くん。

 って、それどころではなく、赤ちゃんの体を急いでタオルで拭いて温めます。
 タオルに包んだ状態でそっとお母さんの腕の中へ…。

 赤ちゃんは元気よく泣き続けています。

「よかった…よもが来てくれなかったら危なかったわね」

「お母さん、その前に救急車呼んで?」

「なんか、行けなかったのよね。よもが来るって思ってたのかも」

 笑顔を浮かべるお母さんに思わず苦笑です。と、そこへようやく到着した救急車。

 お母さんと赤ちゃん、智希と望亜も一緒に救急車に乗り込んでいきます。

「キミ、母子手帳は…」

「あ、後で追いかけた時に持っていきます」

「分かりました。市民病院に運びます」

 救急車はあっという間にお母さんたちを運んでいきました。

 さてと、逆戻りですか行くしかありません!