「ッやめて!!」

「ッこら、キミ!離れなさい!!」

 手錠を掴む警察官に体当たりして、その腕にしがみ付く。

 嫌だ、お父さんが捕まるなんて、そんなの、絶対に嫌だ!!

「蓬!」

「ッ…お父さん…」

「いいから、その人から離れなさい」

「…違う、お父さんは何にも悪いことしてない!なのに、なんで捕まらなきゃいけないの?なんで?警察は悪い人を捕まえるんでしょ!?なのに、なんで!!」

「蓬!!」

 強い声で名前を呼ばれた。

 振り返るつもりなんてなかったのに。

 体が思いより先に動いて私は振り返ってしまった。