ハルのリクエスト通り、夕飯は魚料理。


お刺身を盛り付けて一旦冷蔵庫に入れ、ふとリビングを見るとモモは絵本に夢中で、ハルは台本?らしきものを見てる。


気になって近寄り、そっと覗くとやっぱり台本だ。


自分のセリフの所なんだろう、ピンクの蛍光ペンでラインを引きながらブツブツ読んでる。


へぇ〜
台本ってこんなのなんだ?
初めて見た。

アイドルも大変だな……
歌やダンスや、セリフまで覚えなきゃいけないし。


色んな事頑張ってんだろうな〜
偉いよね。



感心してるとハルが「ん?」と顔を上げ

「あ、又見とれてた?なんて」

と、ニカッと笑う。


でも違うよハル。

「今回は見とれてたんじゃなくて感心してたの」

「なんだ、残念。
でも感心される様な事してないけどなー。
それになっちゃんだってスゴイじゃん」


ん?なんで?

「あたしはスゴくないよ。
ハルみたいに歌やダンスやセリフ覚えなきゃいけない事も無いし、特に何か努力してるわけでもないしねー」

顎に手を当てて空を見てるあたしに

「なっちゃんは家事や育児して、仕事もしてんじゃん。
スゴイよ〜!

優ちゃんから訊いてるけど、なっちゃんは辛い経験を乗り越えて今があるんじゃん?
努力があったからでしょ?」


それは……

ハルの存在に支えられてたからで……