「おい!」 和君の大きな声が聞こえて、ハッと我に帰る。 「どっち…?」 「え、と…右」 道が二手に分かれていて、その問いかけに返事をした。 私、ぼーっとしてた…? 和君は舌打ちをしながら、右方向に進んで行く。 「送って…くれるの?」 「…勘違いすんなって言ってんだろ。別の方向だったら分かれる。ここは治安が本当に良くないから、お前じゃなくてもこうしてる」 イライラしたような、和君の声。