少しの沈黙が私たちの間に流れ、室内が静寂に包まれる。

恐る恐る顔を上げ、和君の顔を横目で見た。


…っ、


「今度から気をつけろよ。…無事で、よかった」


ど、して…

そんなに、優しそうな顔をしているの…っ?

怒ってると思ってたのに、呆れられたと思ってたのに、もう幻滅されて、それでも、仕方ないって思ったのに…


先ほどまで抑えていた涙が、何かが切れたように溢れ出す。

優しい言葉をかけられたのに、どうして涙が出るのかわからなくて、けれどもう我慢なんて出来なくて、

泣き顔を見られたくなくて、両手で顔を覆う。


すぐに泣きやむから、待って、和君。急に泣き出してめんどくさい奴って、思わないで…っ。


「ごめ、なさいっ…」

「…さっきからそればっかりうるさい」

「…ぅ、ん…」

「……っ、とりあえず、タオル置いとくから。汗かいたらちゃんと拭けよ、悪化する。あと、氷嚢とか持ってくるから待ってろ」


私の膝の上に、タオルを置いて立ち上がった和君。

そういえばさっきから、熱で汗ばんでいる気がする。



……あれ。

ま、って…。この服、誰の…?


…どうして私は、熱を計った時に気がつかなかったんだろう。