チラチラと雪の降る寒空の下、シンとリィは頬や指先を赤く染めながら組手を行っていた。
真冬の早朝五時はまだ闇に包まれている。館から漏れる微かな明かりを背に、降る雪を溶かすほどの熱い拳の応酬をしていると。
首から下がっている指輪が、ほんのりと碧色に光りだした。
「手紙?」
打ち合う手を止め、鎖の先にある指輪を手にするシン。そこから一枚の羊皮紙が飛び出してきた。
『今からそちらに向かいます』
丁寧な字でそう綴られた短い手紙。その差出人の名前を確認する間もなく、少しだけ積もった雪の上に、大きな転移魔法陣が現れた。両親の魔力が溢れる魔法陣から、碧い光に包まれた少女の姿が浮かび上がる。
ピンクブロンドの巻き毛をふわりと風に揺らしながら雪の上に降り立った彼女は、垂れ目気味の赤い瞳を双子へ向けると、優雅に微笑んだ。
「ごきげんよう、お二人共」
黒いローブをつまみ、ゆったりと見事なカーテシーを披露する少女は、こんなところで顔を合わせるはずのない人物で。何故ここにいるのだろうと、双子はしばらく呆気に取られていた。
「なんでここに、シャル……」
「シン!」
シンが少女の名前を呼ぶ前に、少女はシンに赤い視線を定めた。
「会いたかったですわ!」
嬉々とした表情でそう叫び、シンに向かって突進する。そして。
「とてもとても……会いたかっ、たああああああ!!!!」
赤いグローブの嵌められた拳を、シンの顎目掛けて思い切り振り上げた。
「どわああああ!」
シンはそれをバック転で回避。少女は更に回し蹴り、バックハンドブロー、空中からの踵落としで追撃してくるので、更にバック転で逃げ続ける。
真冬の早朝五時はまだ闇に包まれている。館から漏れる微かな明かりを背に、降る雪を溶かすほどの熱い拳の応酬をしていると。
首から下がっている指輪が、ほんのりと碧色に光りだした。
「手紙?」
打ち合う手を止め、鎖の先にある指輪を手にするシン。そこから一枚の羊皮紙が飛び出してきた。
『今からそちらに向かいます』
丁寧な字でそう綴られた短い手紙。その差出人の名前を確認する間もなく、少しだけ積もった雪の上に、大きな転移魔法陣が現れた。両親の魔力が溢れる魔法陣から、碧い光に包まれた少女の姿が浮かび上がる。
ピンクブロンドの巻き毛をふわりと風に揺らしながら雪の上に降り立った彼女は、垂れ目気味の赤い瞳を双子へ向けると、優雅に微笑んだ。
「ごきげんよう、お二人共」
黒いローブをつまみ、ゆったりと見事なカーテシーを披露する少女は、こんなところで顔を合わせるはずのない人物で。何故ここにいるのだろうと、双子はしばらく呆気に取られていた。
「なんでここに、シャル……」
「シン!」
シンが少女の名前を呼ぶ前に、少女はシンに赤い視線を定めた。
「会いたかったですわ!」
嬉々とした表情でそう叫び、シンに向かって突進する。そして。
「とてもとても……会いたかっ、たああああああ!!!!」
赤いグローブの嵌められた拳を、シンの顎目掛けて思い切り振り上げた。
「どわああああ!」
シンはそれをバック転で回避。少女は更に回し蹴り、バックハンドブロー、空中からの踵落としで追撃してくるので、更にバック転で逃げ続ける。