シンは脱力した状態で足を地面に滑らせた。

 リィは高難度の歩法、『浮身』と『沈身』の達人だ。くるりくるりとダンスをしているような動きから、相手の攻撃をかわし、予測不可能な攻撃を繰り出す。

 シンはリィの動きを脳内で追いながら、黒いスーツの男たちの繰り出した拳をするりと避け、体を斜めに傾けた状態から回転し、膝を腹に食い込ませた。

 崩れ落ちた男を尻目に、そのまま片足で回転し、後方にいた男を足でなぎ払う。


 リィはシンの動きを脳内で追いながら、いつもならば身を引いてかわす攻撃を、一歩踏み込むことで避けた。そしてそのまま男の顎目掛けて掌打を放つ。

 吹き飛んだ男を尻目に、その場で逆立ち、背後にいた男の首を両足で挟み込む。そして自分の体を回転させながら敵を地面に叩きつけた。


 同時に顔を上げた双子は、互いの動きに賞賛の笑みを送りながら、装備している武器に手を伸ばした。

 シンは魔銃を。

 リィは剣を。

 それぞれ手にし、スーツの男たちの攻撃を側宙でかわしながら投げ放った。

 宙で交差した剣と魔銃は、それぞれ本来の持ち主の元へ。

 アストレイアを受け取ったシンは、ズシリとした重さに歯を食いしばった。そして直ぐ様剣を二刀に分解、一刀だけを両手で持ち、構えた。

「これならイケる!」

 いつもの重さではリィは持ち上げられない。けれども分解して一刀だけにすれば問題なかった。

 いつものリィの足捌きを意識しながら、男たちの攻撃の間をすり抜けるようにして歩くシン。その剣筋は光のように速く、男たちは対処出来ずに次々に倒れていく。