「……シンンンンっ!」

「大丈夫だ、安心しろ。霸龍闘は鼻血を噴いていたけど、それは俺が肘を食らわせる前だ」

「どこが大丈夫なのぉっっ……!」

「霸龍闘にとっちゃお前の肘鉄よりぱんつの方が破壊力があるってことだ」

「っっっ!」

「ぐええっ、首絞めんなっ!」

 これお前の体! とシンはリィを宥める。

「だってお前でもそうするだろ? 俺が悪いことしたら後ろ回し蹴りだろ?」

「それはシンだからだよっ……霸龍闘にはそんなことしないっ……うぅ……霸龍闘に嫌われたら、どうしてくれるのぉ……」

 深海色の瞳に浮かび上がる涙に、シンは動揺。

「わ、悪かったよ、後でちゃんと謝るから、泣くなよ……てか、俺の顔で泣くな……」

 軽くリィを抱きしめて、よしよし、とその背中を撫でてあやすシン。しかし傍から見たらリィがシンを慰めているのである。ちょっと不思議光景。



 その後、落ち着きを取り戻したリィから、今度はシンへ報告。

「体力テストは、ちゃんと頑張っておいたよ……。シンも満足してくれると思う……」

「そっか、ありがとな」

「うん。それから、お昼は野菊ちゃんと食べたよ……」

「バレなかっただろうな?」

「大丈夫……ちゃんといつも通りにしてきた……」

 こくこく、とリィは頷く。

「野菊ちゃん、シンの怪我のこと、心配してたから……」

「ああ、もう全然平気なんだけどな」

 それでも心配してもらえて嬉しいのか、シンは顔を綻ばせる。

「うん。安心させるために、ぎゅってして、ほっぺにチューしておいた……」