「はっ、きょ、今日も、いい天気だな!」

「う、うん、いい、天気……だ、ねっ……」

 ぎこちない笑顔を見せ、なんとか誤魔化そうとする2人。

「んん? ……そうだねぇ、いいお天気だねぇ♪」

 野菊はにぱっと笑い、誤魔化されてくれた。

 双子はほっと胸を撫で下ろす。


 自分たちの身に起きたことを、一味のみんなに話してしまえば楽なのかもしれない。きっと彼らは親身に相談に乗ってくれるだろう。

 しかし、万が一他の誰かにこのことがバレたら。からかわれるだけならいいが、ここは変人ばかりが集う天神地区、天神学園である。変な研究施設に連れて行かれる可能性もあるのだ。それは嫌だなぁ、と思うわけである。



 教室に辿り着くだけで疲れてしまった二人は、ぐったりした様子で自分の席に座った。だがすぐにリィが立ち上がり、机に突っ伏しているシンの足に手をやった。

「閉じる……」

 ぱしっとシンの膝が合わさる。

「シン、椅子に座るときは足を閉じて……背筋を伸ばして……」

「あ、ああ、悪い」

「そして髪が乱れたら直して……」

「ん、ああ」

 小声で話しながら、登校中の風で乱れたハニーブラウンの髪を直してやるリィ。女の子は身嗜みが大事なのです。

 甲斐甲斐しく世話をしていると、その様子を見ていたクラスメイトの鬼龍に、

「いつも以上にシスコンぶりを発揮しているアルな、シン……」

 胡乱な目で、そう言われた。