「……リィ」

「……うん」

「覚悟を決めろ」

「……うん」

「大丈夫だ、俺たちは兄妹だ。問題ないっ」

「……うう」

 こればかりはどうしようもないと、シンはリィに言い聞かせる。

 もちろんシンだってちょっとは恥ずかしい。でも仕方ないのだ。我慢は体に悪いし、もっと悪い事態に進んで人としての尊厳を失うよりは、今のうちに勇気ある一歩を踏み出すべきだ。

「……わか、った」

 泣く泣くリィも頷く。

 そして、可哀想なくらいに真っ赤になった顔を俯かせ、ぎゅっと目を閉じたまま訊ねた。

「ど、どうすれば、いいのっ……?」

「……それは、俺も聞きたかった……」



 双子は人生において、後にも先にもないほどの高い壁を登った。

 純真なる子どもたちが登りつめた頂上に待っていたのは、尊い絆。

 双子には、どこの兄弟よりも深い絆で結ばれたという自信が出来た。

 大人になるって、こういうことなのかもしれないな……と、悟りの境地に入った二人である。何か間違っているような気もするけれど。


 
 最大の難関を乗り越えた二人は、更なる難関にぶつかる。

「学校、どうするよ」

 リビングでまた向かい合って座り、うーん、と悩む二人。

「今日はお休みして、魔法陣の解読をしたいところだけど……」

「はっ! 今日の体育、男子は体力テストだぞ!」

「うん……国語も、小テストが……」

 お互いに、休むわけにはいかない理由がある。

 ならば、覚悟を決めて攻め込むしかあるまい。


 シンはリィの腰に帯剣用ベルトをつけてやり、アストレイアを持たせた。

 リィはシンの両足にサイホルスターをつけてやり、クローリスとヴィオラを持たせた。

「行くぞ。正体を気取られるな」

「わかった……」

 戦闘準備は万端である。

 いざ、出陣!