庭で待っていた拓斗と、修行する二人をいつも見守ってくれているメイドさんたちに、今日の修行は休みます、ごめんなさいと伝え、双子はリビングで向かい合って座った。

 自分の目の前に難しい顔をした自分がいる。自分は自分の意思とは違う動きをする。違和感が半端ない。なんだこれ。

 青い顔で沈黙し続けていた双子は、同じタイミングでそっと顔を上げた。

「とにかく、原因を、考えよう……」

「そ、そうだな」

「きっと、二人で何かしたことが、原因……」

「だよな。よし……」

 リィが赤い髪を、シンがハニーブラウンの髪を揺らして頷きあう。

「昨日何したっけ?」

「いつも通りだった……朝は修行をして、学校に行って、帰ってからまた修行をして……」

「夕食は和音さんのハンバーグだったな」

「うん、おいしかった……」

「うん。デミグラスソースが肉の旨味と絶妙に絡み合っててさ、思わずおかわり十個もしちゃったよ」

 うんうんと頷きあい、はたと気づく。

「そこじゃないな」

「そこじゃないね……」

 うーん、と双子は夕食後の出来事を思い返す。

 宿題をやって、テレビを見ながらバランスボールの上でヨガやって、シルヴィを寝かしつけてから、転移魔法陣の研究を……。

「それだ!」

 双子は声を揃えて立ち上がった。

 そしてリィの部屋に行き、机の上に置いておいた何枚かの紙を手にする。そこに描かれた転移魔法陣は、現在双子が研究中の地球・ミルトゥワ間の行き来をもっと簡単に出来るようにするものである。

 どうやら本気で野菊を故郷に連れ帰るつもりのシンのため、リィが色々と研究し、シンもない頭を絞って手伝っているところだ。

 もちろんまだ完成の段階ではなく、この魔法陣もリィの案を元にいくつか描き連ねただけのものだ。わざと円をすべて繋げず、間違えて魔力を注いでも発動しないようにしていたはずだが……。