そんなことが2日ばかり続いた夜のこと。

 シンが首から下げているシルバーリングが眩い光を放ったので、慌ててリィを呼んでソファに座った。

 リングを包み込むように現れる小さな魔法陣。

 碧い光を放つ空間が僅かに歪み、そこから丸まった羊皮紙と、掌サイズの黒い箱状のものが現れた。シンは黒い箱をリィに押し付け、羊皮紙の紐を解く。

「母さんの字だ!」

 中身を確認し、シンは満面の笑みを浮かべる。リィもシンと手紙の間に頭を割り込んで覗き込み、「良かった」、とそのままシンに抱きついた。その背中をとんとんと叩いてあやしながら、シンは手紙を読み上げる。


『シン、リィ、返事が遅くなってごめんなさい。心配をかけましたね。手紙が書けなかったのは、ちょっとした事件に巻き込まれてしまい、時間が取れなかったからです。怪我や病気をしていたわけではないので安心してください』


 読み上げるうちに涙が滲んできたので、シンは一旦読むのをやめた。そして、リィに渡した黒い箱に目をやる。

「それ、なんだ?」

 問いかけると、リィは目をごしごし擦りながら顔を上げた。

「通信機……? ううん、映像記録……かな?」

 色んな角度から箱を見たリィは、それをテーブルの上に置いた。そしていくつかついていたボタンのうち、再生ボタンだと思われる一番大きなものを押してみた。箱の上部から光が放射状に広がり、そこにどこかの景色が映し出される。