2人きりになった玄関では。
たまちゃんが力なく、ぎゅっと拳を握り締めていた。
「…ごめん…さくら、あたし」
『謝らないで?』
「だって…」
『会わないようにしてくれてたんだよね…ありがとう』
不可抗力だよ…
龍平さんは自分の家なんだもん…仕方ないよ。
こうなることだって予測出来なかったわけじゃない…私が悪い。
『リビング入ろう?ココア飲もっか』
「…ん、飲む」
『うん。ちょっと待っててね』
キッチンに入った私は
ラップをしていたおかずから
龍平さんの分をお皿に移してレンジで温めた。
その間に、たまちゃん用のココアを作った。
ココアは、たまちゃんの一番好きな飲み物。