「さくら、荷物上持ってこう」


『うん』


「ええー!何で?2階行くの?」



不満げなたま美さんの声が廊下に響く。



「…荷物置くだけ。すぐ戻ってくるから、お母さんはスーパーの袋冷蔵庫入れてて」


「はいはい! まあまあ、こんなに買ってきてー」



機嫌を直したたま美さんが、リビングに入っていったのを見届けて

私たちは2階へ向かった。


扉に“TAMAKO”というたま美さんお手製のネームプレートが相変わずかけられてある。



隣の扉にも“RYUUHEI”というプレートがあるのは

見なくてもわかっていた。