口が悪くて、頑固者。
そんなおじさんの徳永さんは。
本当はとってもとっても照れ屋で口下手な家族を愛するお父さんだった。
「父さん。・・・ありがとう」
信一さんには見えただろうか。
なにか、感じただろうか。
一瞬、消えていく徳永さんを見上げた気がした。
何度経験しても、この瞬間はとても寂しい。
別れるために出会って。
出会った魂を送り出していく。
それは、嬉しいことだけれど。
とても寂しくもある。
いつまでたってもこの気持ちには慣れないんだろう。
「帰ろう」
「うん」
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