私たちは、再び池野さんのアパートの前に来ていた。
プロポーズの場所。
そう、それは、池野さんの家。
郵便ポストの中に入れたプレゼントと手紙。
池野さんはそれを見つけそれを持って家に入った。
私も、中に入れてもらう。
「プレゼント・・・」
「はい。池野さんのために、ゆめかさんが用意したものです」
しばらく中をあけずその包みを見つめていた池野さんは、意を決したように手を伸ばし包みを開けていく。
「これ・・・」
出てきたのは、ネクタイのタイピン。
大学を出て、就職した池野さんにゆめかさんが選んだものだ。
「俺、ずっと親父のお下がりを使ってて。いつか自分で買いたいって話してたんだ・・・」
「そうなんですね」
「覚えてたんだな・・・」