「ねえ、好き。」
そう言った私を哀れむような目で、彼は私を見つめる。

だけど今までよりは確実に優しくて、馬鹿だねとあしらうフリをしては頭を撫でてくれる。

好きも嫌いもひとえに、あなたを傷つけてしまうのならと、黙って抱きしめてみても。



あなたはそれすらわかったように、
馬鹿だねと返す。



惨めに見えてるのかな。
あなたのことばかり考えて、
やさしい言葉を選んでるわけじゃないよ。

あなたは私に人として好きだと線を引いて、その優しさが重いと嘆いた。




ごめんね。
あなたが思ってるほど、いい人じゃない。あなたに都合よくありたくて、好かれたくて。


嘘はつかないけれど、

そんな下心にまみれてるから、
だからそんなにいい人じゃない。




羨ましいと馬鹿にされるのも慣れたよ、飽きたよ、そんな、夏の暮れ。



時が流れるのは早いもので、
あの日から3ヶ月余りの時が過ぎようとしていた。