そう、言った直後だった。



「俺は、お前のことなにも知りはしないけどね。」



「え…?」


「ずっと、お前のことは何一つ知らないままだよ。お前が消えたあの日も、戻ってきた今も。俺は何一つ変わっちゃいない。」



「う…ん…」



「ずっと、元気だったの?俺が、寂しくないとでも思ってんのかよ。好きじゃないとか、好きだとかって、そういうのよくわかんねえけどさ。」



「ごめ…」



謝りかけたところで、
息を飲んだ。


気づけば目は閉じなくても勝手に落ちるくらいには涙が溢れていて、そんな中でさえ、ごめんは禁句だとわかった。




「天音さん…ごめん、ね、わかる、禁句なのもわかるんだけ、ど、ごめん、ね、ごめん…すき、だよ…?」


泣きじゃくる意味も何もわからないまま、事態はどんどんと進んでいった。