「まあ、座りなよ。ドリンクバーと、あとなんだろ?なにたのむ?俺も今来たとこだからさ。」


「ドリンクバー、だけでいいかな。」


「そっか。」


彼は特に何かを気にした様子もなく、
淡々とことを進める。

何もかもが優しいんだと思う。


「よし。じゃあ飲み物とってくるよ。なにがいい?」


そんな風に気を使ってくれるから、


「メロンソーダ、かな。」


申し訳なさで胸が痛いよ。



嘘。


何度言えばわかるのさ。
最初からわかっていたことなんだって、
全部わかっていたんだって。



「はい、メロンソーダ。」


「うん、ありがと…それは…?」



「これ?アイスティーだよ。」


「そっか。甘い?」


「ううん、なーんも。何も入れないんだ俺。」


「初めて知った。」


「俺も。そんな顔初めて見た。」


彼は、氷の3つ入ったアイスティーをカラカラと音を立てて回す。



あーちゃんと、いつだったか喫茶店に行ったっけ。


あーちゃんとの思い出が脳裏に浮かぶ時点でやっぱり彼を愛せやしないのに、なのにね。


あーちゃんの、声がした気がした。
でもそれは思い出の片隅。


「お前、アイスティーに砂糖3つもいれんの?味覚おかしくね。」


「なーんでよ!あーちゃんだって2つ入れるじゃん!」


「流石に3つはアホ。」


「んー…もう!好き!」


「本当、アホすぎ。」


そんな話をしたのも、一月くらい前の話で。今じゃあーちゃんがどんな顔してるのかもわかりはしない。



泣いてるのかなと思うのもきっと、
自惚れでしかない。


メロンソーダを口に含んで、
コクリと飲み込む。


弾ける炭酸と裏腹に、
心は深く沈みそうになる。


そんなの違うと顔を上げた。