何か変なこと言った?

そんなおれの疑問を読み取ったのか
弘樹が口を開く。

「……一言も?」

「うん。」

今度は引き笑い。
どうした。

「おま…お前、それは感じ悪いってー!」

「感じ悪い?」

言われている意味がわからない。

「挨拶しなかったから?」

「それもだけど…えー!
少しはコミュニケーションとろうよ
慶斗クン!桜井さんの方がビビるって!」

さらに意味がわからない。
なんでビビるの?

「ごめん…意味わかんない。」

「慶斗みたいに、滅多に女子と話さない奴が
初日から無言って…まあそれはそれで
当たり前っちゃ当たり前かもしんないけど。
嫌われてるんじゃ…とか心配ならない?」

「えー…それはちょっと自意識過剰じゃない?
話したこともないのに…。」

「そんなことないって!
慶斗、スマイル!スマイル!え・が・お!」

今日どうしたの、こいつ。
教卓前が嫌すぎてテンション
おかしくなってる?

「あー、もううっさい。わかったよ…。」

「慶斗……っ!」

「話すよ…2学期から。」

駆け足で弘樹を置いていく。
後ろから「おい!」って聞こえたけど
笑いながら体育館へ向かった。