おまえ以外って言えたらなぁ…とか心でつぶやいてみるけど。

絢音が俺の気持ちに気づくことは、絶対にない。

なんせ鈍感だし。

何より、俺を男としてみていない。

だって、ノーブラで上下スウェットで平気でいつでも俺の部屋にやってくる。

それが証拠だ。

だから俺は、''幼なじみ''として過ごすしかなかったんだ。

『…あたし…さっきから、知らない女の子たちにいっぱい聞かれたんだけど…』

絢音が不満そうに口を尖らせて言った。

『…何を?』

『''朝、一緒に歩いてたけど、彼女なの?''って…ただの幼なじみですって何回言ったか…大変なんだから…モテモテの幼なじみを持つとねっ』

ほら…やっぱり。気付いていない。

『…あっそ』

…何かイラつく。

『ちょっと!蒼ってば〜!どこ行くの?』

『どこだっていいだろ』

俺は、いら立ちながら教室を出て行った。

絢音は…俺のこと、ただの、''幼なじみ''としか思ってないんだよな。

告ったら終わり。

フラれんのわかってんだ。

アイツのそばにいられなくなったり、気まずくなったりしたら、最悪に辛い…。

幼なじみってすげぇ近いようで…すげぇ遠い存在なんだよ…。