それからの暮らしはとても心地の良いものだった。
仕事をする彼女の横で彼は手伝いをした。
常連の羊が何頭か逃げ出したらしく、それを追いかけもした。
木から落ちたヒナを巣に戻した。
時にはお客の相手もした。
戦場が近いこともあってスクトゥムを毛嫌いしている人間も多かったが、その姿だけに彼がスクトゥムだと気づく人はいなかった。
足の悪い近所のおじいさんの代わりに土を耕した。
種をまき水をやった。
死んでしまった犬の墓を作った。
その一つ一つの行為は作業であったが、何かを感じていた。
言葉では言い表せない何かを。