廊下からから聞こえていた誰かの話し声がだんだん遠ざかっていって、聞こえなくなったその時。


ふいに、うるさすぎるほど鳴いていたセミの声がやんだ。


私が教室に入った時と同じように、彼がこっちを振り向いて私を見た。


私も彼の目を見つめた。


何秒か、時間が止まっていたような気がする。


彼が唇を開いて、何か言った。