「お待たせ」




「全然、待ってないよ」




「本当に彩音はかわいいな…」




そう言って、私の頭を撫でる智希。




「智希…好き…」




「俺も…」




そっと重なるキス。




何度キスしても、初めてのキスと同じくらいドキドキする…




ファーストキスは、智希じゃないけど…




後悔はしてない。




ちゃんと、好きだったから…。




智希も私じゃない誰かとしたんだよね…?




ファーストキス…。




走り出した車内は、そんな気持ちとは裏腹に明るい音楽が流れてる。




「智希…」




「ん?何?」




「智希のファーストキスって…いつだった?」




「ファーストキス??」




すんごい考え込んでる…。




そんなに…いっぱいの女の人と付き合ってきたの?




モテるのは分かってるけど…




「幼稚園の頃だ!」




それ…案外、誰でも言うんだよね…




聞きたいのは、そんな事じゃない…




「違う!!本気で人を好きになって、キスしたのはいつって聞いてんの!!」




「あ〜…高1かな。そういうの…周りより遅かったし。彩音は?」




言おうか言うまいか、悩んだけど…聞いたのは私だし…




「中学の頃…」




「もしかして…前、彩音に会いに来てた奴?」




「うん…」




もう…思い出したくはない過去なんだけど…好きだったのは間違いなく確か。