「遊園地にでも行くか?」




「遊園地…?」




「嫌だ?」




「ううん…行きたい。私、遊園地とか行った事ないから…」




この歳になって、遊園地に行った事ないの…この世に私だけじゃないかって思ってしまう。




「マジで?」




「うん…変だよね?やっぱり…」




「変じゃないよ。それに、彩音は俺と初めて遊園地に行くって事だろ?その相手が俺だから、むしろうれしいよ」




何で…そんなに優しいの?




普通は笑われても、バカにされてもおかしくないのに…




うれしいって言われるとは思ってなかった。




「じゃあ、遊園地はお昼から行こっか。夜になったらクリスマス用にライトアップされて、すっげぇきれいな所があるんだ」




「うん…」




こんな事聞くのは、きっと嫌われるだろうから言わないけど…




誰かと行った事があるんだよね…?




きっと、元カノ…




過去は過去なんだろうけど…やっぱり考えちゃう。




そして…胸が苦しいよ。




「夜の遊園地は、彩音と行くのが初めてだから…」




やっぱ…智希には私の心の中が通じてるのかな?




いっつも不安を取り除いてくれる。




「お昼までは、俺んちでマッタリしてよっか?」




「うん!!」




それからは、フルスピードで仕事をした。




今年最後の室長の仕事は、結構な量で大変だった。




気付けば、外はもう真っ暗。




「送ってくよ。車に乗って待ってて」




智希は私に鍵を渡すと、職員室に荷物を取りに行った。