放課後、俺は俊也の言う通りC組の船橋さんに聞いてみることにした。
船橋さんとは一年生の時に同じクラスだったけれど、あまり喋ったことはない。
でも、人懐っこく明るい性格で、みんなの人気者だったことは覚えている。
そんな船橋さんなら、俺の探している“高野 すみれ”のことも知っているかもしれない。
C組の方に向かって歩いていると、ちょうど廊下で船橋さんにすれ違った。
「あの……船橋さん」
「あっ、澤本(さわもと)くんじゃん! 久しぶり!」
俺が声をかけると、彼女は振り返って驚いたように俺を見てそう言った。
「あのさ、“高野 すみれ”って知らない?」
「え? すみれのこと?」
俺が彼女の名前を出したとたん、船橋さんは目を見開いて笑った。
「知ってる?」
「知ってるも何も、すみれは私の親友だよ! すみれなら今、音楽室にいると思うよ。多分だけど」