まじでー!SMの方がマシだよ~!!その時になって恐怖が襲い、ガンガン泣いた。

 泣き声が気持ち悪い上にうるさかったらしく、タクの運ちゃん(推定年齢55歳)に訳を聞かれて話、慰めてもらったのだった。

「人生山有り谷有りだよ、お嬢さん。今は谷なんだ、これからは上昇するよ」

 ・・・ありがとう、運ちゃん。

 私はすでにぐしょぐしょになったハンカチを握り締めて運ちゃんに頭を下げる。

 だけど、谷じゃないわよ、今の状況・・・。敢えて例えるなら、真っ暗で細長いトンネルにいるみたいだ。出口はまだまだみえないぞ~っと。

 与えたハズの気持ち悪さと慰めのお礼にと大目にお金を払って、お釣りはどうぞ、と言うと、ニカッと笑って片手を振って去って行った。

 あの日はそれだけがいいことだった。最後にいい人の笑顔が見れたのが。

 泣きはらした目でしかも裸足で帰って来た娘に母親が向けた目が痛かった。まさかスカトロ野郎にヤラレそうになったから逃げてきました、とも言えず、黙って自室に引き上げたのだった。

 ま、とにかく。

 そんなことが私の30年間にあったのだ。それからは私はきっぱりと、男といる人生を諦めた。

 たりっきー(他力本願)がダメなのだ!神様は見てらっしゃるんだ!誰かに養って貰うことを望まずに、じりっきー(自力自立)を目指せ、都!!

 仕事を手に入れて、体と心を治し、一人でも生きていける道を模索しよう!と拳を空に突き上げて、丁度満月だった夜空に誓ったのだ。

 ・・・が。

 やはり現実とはビターでハードなのだ。

 就職先はいつまでも決まらず、特に資格もなかった私は途方に暮れて、アルバイトで食いつないできたこの2年間。