そこで私は次に行った。

 次に紹介された男は医者だったけど、こいつ専門バカだろう!と一目で判った。そして自分大好き人間だ。

 素晴らしい夜景見えるレストランで2時間、その舞台設定を打ち砕く勢いで自慢話を延々としていた。

 パパは金持ちらしい。そしてママは別嬪さんなんだって。その息子であるボクは超エリートの、出世株なんだって。血も滴るようなレアなステーキにフォークを突き刺しながら、私は心の中で思ったんだった。

 黙れ、ぼんぼんの専門バカ。

 残念ね、あなた、外見はパパに似て中身はママに似たのねって。別嬪ママのわりにはイケメンではなかった。

 最後の方は料理がまずくなるからと耳を遮断してひたすら食べることに専念した私だ。

 君は僕と会えてラッキーだったね、お見合いの話もひっきりなしなんだから、と言うので、丁度食事も終えた私は、ではその中から佳人薄命の女性をお選び下さいと言い捨ててレストランに置き去りにしてやった。

 申し訳ないけど、私は上司との不倫で夜景も一流レストランも慣れていた。感動、全くなし。

 むしろスマートでイケメンで柔らかな物腰の元恋人である元上司を思い出してその医者と比べ、凹んだだけだった。

 1ヶ月後、やっと気を取り直して再度トライ。

 3度目の正直かと思って行った先に待っていたのは外見もそこそこの普通の男性。私はほっとして、心からの笑顔が出たんだった。

 その人とは4回ほどマトモなデートをして、ちゃんと次の段階までは行ったのだ。だけど、ホテルの部屋で彼は激変!何と、スカトロが趣味の男だった(判らない人は無理に調べようとしないこと。間違っても人に訊ねてはいけませんよ)。

 私は引きつって部屋中を飛び回って逃げ、ヒールをヤツに投げつけて飛び出し、裸足でタクシーに逃げ入り、タクシーの中でさめざめと泣いた。