そして就職。

 そこで同期と恋愛し、略奪愛に破れ、悔しさから頭がいっちゃって、美形の上司との熱い恋に身を焦がした。ただし、彼は妻帯者だった。

 秘密の恋愛。人様のものに手を出すという背徳感。だから燃えたのだと今は判る。

 いつかは必ず私をとってくれると思って日陰者身分に耐えて4年、ついに妻にバレ、すったもんだの挙句の泥沼恋愛へ。

 当たり前だけど、彼は妻を取った。この当たり前を知っている女は浮気をしないんだな、と後で判った。

 この時の私は色んな意味で、色んなところが確実に病んでいた。

 何とか妻からの慰謝料の請求からは逃げ切れてボロボロで退社、実家に戻り、不倫の挙句だと親にもバレ、これではいけないと真剣に婚活に身を投じるも―――――――

 最初にブラインドデートをした相手は全ての物事に完全な折半を要求する男だった。外見はまともだし、性格だって温厚と言えるだろう。

 私だって、会ったばかりの男性に何でもかんでも奢って欲しいわけじゃない。だけどもあまりキッチリしたのも考え物だよな・・・。

 1円単位で割り勘にされて、その細かさにおぞ気が立ち、食事終了と共に帰宅した。

 だって、どうするのよ。その後ラブホテル行ったとして1円単位で割り勘されてみたとしたら?ヤツは絶対やるぜ。そして私は真っ黒な色に塗りつぶされた後悔に襲われるに違いない。

 ダメダメ、そこまで焦ってねーよ。