「…っ。」


 そもそも僕が見ていたことを気付かれるのが嫌で、ギリギリさえさんが視界の隅にいるくらいのところまで視線をふいっと逸らした。


 …ばれて、ない、よね、


「…カッコイイっていうか──…」



 な、なに…バカ、まだ見てる!?


 "っていうか"、なに!?



 ただ、さえさんがその先の言葉を紡ぐ前に、香坂美景がさえさんからヒョイっと離れて、僕と風太の元へと歩み寄る。寄るな。


「あのーぉ?♡ もしかして、高等部からの入学ですか?確かこんなイケメンな双子さん、中等部の頃いなかったはずだしー……♡」

「………。」


 僕 に 色 目 を 使 う な 。