路面には、虹が浮かんでいた。
それは、工事で使う鉄板に、オイルが滲んでいる証拠だった。
鉄板は滑る。それは、晴れている時ですらそうだった。それが、雨の中、オイルが滲んでいたとあっては、為す術などなかった。
晴には、ゆっくりと世界が傾いていくように見えた。
―――先輩の、先輩のバイクだけは・・・。
何よりも、それだけを考えていた。