空には、いつの間にか雲が出てきていた。
「どうすか?」
宙の背中越しに、原チャのエンジンを覗きながら聞いた。しゃがみ込んで、エンジンを確認した宙は、すぐにため息をついた。
「こりゃ。駄目だわ。」
「えっ?」
「直せるには、直せるけど、すぐって訳にはいかねぇ。部品がイっちゃってるんよ。」
「マジすか。じゃ、遅刻かぁ。」
空の雲も、晴の心もどんよりだ。
その表情を見て、宙は例の条件の事を思い出した。
―――まだ、名変終わってねえけど、どうせこいつが乗る事になるんだしな。
つなぎのポケットから、自分のバイクの鍵を取り出した。
「今日は、俺のバイクで学校行けや。」
「えっ・・・。」
驚きで、それ以上言葉を続ける事が出来ない。
「だから、俺のバイクで今日は行けって。この原チャは、見といてやんから。」
恐る恐るバイクの鍵を受け取り、晴は深々と頭を下げた。
「ありがとうございます。絶対にコカしたりしませんから。明日、ピッカピカにして返しますから。」
「いいよ。気にすんなよ。それは、どうせ・・・。」
そこまで言って、言葉を止めた。
―――俺の車と、こいつのバイク。ダブルサプライズといきますか。
「どうせ?」
晴は振り返って、その言葉の先を待っていた。
「いいって。それより、学校にとっとと行けや。」
「はい。」
ぎこちないエンジン音が、遠くなっていった。
「どうすか?」
宙の背中越しに、原チャのエンジンを覗きながら聞いた。しゃがみ込んで、エンジンを確認した宙は、すぐにため息をついた。
「こりゃ。駄目だわ。」
「えっ?」
「直せるには、直せるけど、すぐって訳にはいかねぇ。部品がイっちゃってるんよ。」
「マジすか。じゃ、遅刻かぁ。」
空の雲も、晴の心もどんよりだ。
その表情を見て、宙は例の条件の事を思い出した。
―――まだ、名変終わってねえけど、どうせこいつが乗る事になるんだしな。
つなぎのポケットから、自分のバイクの鍵を取り出した。
「今日は、俺のバイクで学校行けや。」
「えっ・・・。」
驚きで、それ以上言葉を続ける事が出来ない。
「だから、俺のバイクで今日は行けって。この原チャは、見といてやんから。」
恐る恐るバイクの鍵を受け取り、晴は深々と頭を下げた。
「ありがとうございます。絶対にコカしたりしませんから。明日、ピッカピカにして返しますから。」
「いいよ。気にすんなよ。それは、どうせ・・・。」
そこまで言って、言葉を止めた。
―――俺の車と、こいつのバイク。ダブルサプライズといきますか。
「どうせ?」
晴は振り返って、その言葉の先を待っていた。
「いいって。それより、学校にとっとと行けや。」
「はい。」
ぎこちないエンジン音が、遠くなっていった。