「おい、宙。ちょっといいか？」
店長が声を掛けてきた。逃げ出すかのように、宙は店長の元に走って行った。
「な、なんすか。」
軽い感じで返事をすると、思ってもみない言葉が飛び出してきた。
「見つかったぞ。頼まれてたやつ。」
「マ、マジすか。え、どこにあるんすか？」
興奮して、店長に詰め寄った。キスでもしそうな勢いだ。
「おい。寄るな。だいたい、ここに持ってくる訳ないだろ。バイトが終わったら、案内してやるよ。」
「待ちきれねぇ。店長、仕事あがって、もう見に行きません？」
「馬鹿言ってんじゃねえよ。ほら、客だ。」
そう言って、宙の背中を押した。