「シエラッ!」

ダストシュートの中を覗き込む。

ポッカリと口を開けた闇しか見えないダストシュート。

何処まで続いているのかさえ分からない。

こんな狭い空間に、あの男は潜んでいたのか。

あの痩躯、まるでナナフシのようだ。

彼も投薬によってあの肉体を得たのか。

この病院での実験体なのだろうか。

今はそんな事より、シエラの安否の方が気掛かりだった。

もうすぐ消火剤の煙幕も晴れる。

看護師達がこちらに気付くだろう。

迷っている暇はない。

アレックスはダストシュートの中に足を突っ込む。