結城さんが水分をセーブしているのは、食事を始めてからずっと感じている。

スープは僅かに、スプーン1匙しか口にしなかった。

魚料理の前も後も、口を少し湿らせた程度。

喉は渇かないんだろうか?心配になるくらいだ。

「あの、脱水症状とか大丈夫ですか?」

思わず聞いて、しまったと思う。

──今の時期はまだ何とかな。1日、食事も含め1リットルの水分は、さすがに夏場は厳しいな

結城さんはさらさらと書いたメモを見せ、はにかむように笑う。



──そんな心配そうな顔をされたら、連れてきたのを後悔しなきゃならなくなる。せっかく美味しそうに食べる良い顔を見れたのに


「──結城さん。わたし、結城さんに元気や優しさをもらってばかりです……わたしが結城さんにできることって……」


結城さんは目を丸くし、メモ用紙の上で手を止める。