40分後。
リハビリ室から出てきた結城さんは、看護師に支えられ、やっと立っているように見えた。

待合室の椅子に力なく腰を下ろすと、椅子の背に凭れかかった。

忙しく息をつきながら『すまない。10分だけ』と口をゆっくり動かし手話で伝え、倒れるように体を横たえた。

「あの……宜しければ会計済ませてきましょうか?」

差しでがましいかなと思いつつ、言ってみる。

『……会計、15時まで。診察日に纏めて支払いだから……看護師が医療明細も医局に回してくれる』

納得したような、納得できないような気持ちで、横たえた結城さんをただ眺めていた。

結城さんは10分きっかり、アラームもなしに、ゆっくり体を起こし立ち上がり『ゴメン、行こうか』と、わたしの手を引いた。

熱っぽく火照った厚みのない手が優しく触れる。

「大丈夫ですか」

立ち上がりながら訊ねる。