『結城さまで2名様、お委せのご予約ですね。お待ち致しております』

何の違和感も、何の躊躇いもなく予約受付されたことに驚く。

病院のロビーに向かうと、結城さんがリハビリ室に入っていく所だった。

リハビリ室の厚い扉の中に入っていく、結城さんの後ろ姿を見つめる。

結城さんが理学療法士にも手振りで話すのを見て、本当に喋れないんだなと、改めて思う。

どんな訓練をするのかが気になるけれど、大人しくリハビリ室の外で待っていることにする。

「結城くんのお連れの方かしら?」

カウンセリング室から出てきた女性が、声を掛けてきた。

「結城くん、いつも凄く真剣に頑張ってるみたいだけど、上手くいかないのよね。肺活量が極度に少ないらしくて、息を吐き出す力も吸う力も弱くて……彼ね、風船を膨らませないし、蝋燭の炎も吹き消せないんですって」

「そんな……」