仕事帰り病院に寄るのは、ほぼ日課になっている。

診察とリハビリ――どちらも俺にとっては、気休めみたいなものだ


――結城さん、無理しちゃダメですよ。体大事にしてください


毎日のように心配顔で言われたことが、折れそうな俺を支えている。

交通事故に遭ったのが、俺だったらよかったと、今でも思う。

思うように動けない体で、薬漬けで、酸素まで引き摺って……。

彼女がいないのに生きている意味が、俺にあるのか?と度々、問いたくなる。


――結城さん、いつか那由多賞作家になってくださいね。わたし、ずっと万萬詩悠の担当しますから


冗談みたいな無邪気な願いと約束が、今も耳を離れない。

彼女との約束のために、俺は書き続けたい。

生きている、生かされている意味が、そこにあるなら……。


そして社内の苛めから1人でも、俺が救えるなら。