――西村先生。銀田末幸之助の、此処の推理なんですが、前筆の推理と矛盾しているように思うんですが。凶器の特定が曖昧ではありませんか?


「相変わらず、鋭い指摘だね」


――鋭利な切っ先だからと言って、此処で刃物と断定はできないかと


「確かに」


――味音痴の銀田末が感じたスープの味の、物足りなさの説明もついていませんし


「ん……君の美文字で指摘をされると、グサッとくるよ。君の声は、いつになれば聞けるのか。儂は君の声に癒され、そそられたんだがね」


――すみません。リハビリは懸命にしてるんですけど


「君の声は執筆意欲を沸かせるんだが」


――先生、手が嫌らしいですよ。どさくさに紛れて、シャツのボタン外していかないでください


「おや、どうしたことだろうね。手が勝手に……」