「相田くん!? 結城くん、何処か悪いの?」


「先生、由樹の鞄に酸素ボンベ入ってるんで」

沢山江梨子の質問をスルーし、相田さんが慌てて言う。

俺は更に咳きこんで、胸を押さえる。


「結城くん!?」

急いで俺の鞄を漁り、酸素ボンベを取り出した沢山江梨子。

俺の口に酸素ボンベを当てる。

香水の匂いが変わってるなんて、想定外だ。

只でさえ、キツい香水の匂いを体が拒絶して、具合が悪くなるのに……。

香水の匂いのキツさが、バージョンUPしてるなんて聞いてない。

胸を片手で押さえたまま、俺は上着のポケットに手を入れる。


「由樹、薬か?」

相田さんの声に頷く。

相田さんは俺の手から、薬の入った瓶をむしり取るように取り上げて、蓋を開け、俺の口にカプセル1粒放り込んだ。


「結城くん、貴方……まさか、心臓が!?」