「貴女、学習しなさい。また仕事を山積みにされたいの?」


「あ……すみません」

受話器を置いて、書類の束を見つめる。

――50ページ以上あったわよね。付箋を貼った書類。
総務部フォーマットの書類は、どうやって!?


仕事ができるとは聞いていたけれど、まさか……あの量を50分でなんて、スゴすぎるって思う。

益々、惚れ惚れ……叫んじゃいたい。

入社して半月。
こんな幸せな日ってないって思う。

パソコンのキーを打つ手が震えちゃうくらい、ドキドキしてる。


爽やかなグリーンノートがふわりと香る。

肩にトントンと優しく触れる手。

出来上がった書類と封筒に入った原稿が、机の上にポンと置かれる。


――確かめて。ミスはない筈だ

書類の上に、添えられた美文字のメモ。

結城さんが楯になり、封筒から原稿を取り出すのを隠してくれている。