結城さんはピタッと、私の席の前で止まって、メモ帳にさらさらとボールペンを走らせる。


――借りてたパソコン。書類を預かっていくから、渡して。それから……君のパスワードは? ここに書いて

結城さんのメモを読み、封筒に入れた書類を渡し「わざわざ持ってきて頂いてすみません」と言いながら、パスワードを記入する。

――出来上がったら、黒田さんが内線かけるから……わかったな


「はい」

元気良くこたえて、礼をして、結城さんが室を出るまで見送って、席につく。

机の上に残った書類を整理して、フォーマットを開いてタイピングしていく。

結城さんと黒田さんの気遣いに、胸が熱い。


結城さんって、めちゃくちゃ仕事できる人って聞く。
24歳で編集部の課長をしていて、特技はパソコンの超高速打ち。