休日だと思うと必死で保っていた緊張感が切れ、ベッドから出たくない。

詩乃がいつまでも起きてこない俺を起こしに来たのは、10時過ぎだった。

いつもより熱っぽい身体を起こし、ダイニングへ向かうと、詩乃は体温計を手に待ち受けていた。

「御飯を食べたら、大人しく寝ていなさい」

俺に体温計を手渡し、詩乃は料理を温め直す。

俺の虚弱体質を心配し、詩乃が俺のマンションに押しかけ同居して数年が経つ。

食の細い俺の栄養摂取の偏りが無いよう、朝夕きっちり料理を作り、顔色や動作を観ただけで体調不良を見分ける。

詩乃は俺のことを熟知している。

「貴方、リハビリしていないでしょう? カウンセリングも受けていないでしょう? 病院から連絡があったわよ」

温めた料理をテーブルに置き、詩乃は俺を問いただした。