「多忙な君の手を煩わせるわけにはいかんよ。君が会長代行になってから、育成講座受講生が増えているそうじゃないか」

──学生や中高年の就職難で資格取得には関心か高まっていますからね。大学や公共施設、下請け会社などにパンフレットを置かせてもらっているんです

「ほお~。だが、増えているのは講座受講生だけではないだろう? 商談を幾つか纏めたとかプロジェクトを立ち上げするとか、明るい噂も聞く」

──お耳が早いですね。でも、いずれも父や兄が数カ月、頭を抱えていた案件で……俺は父と兄と重役、商談相手のクッション役みたいなものですよ

「講座内で、会長代行はなかなかの切れ者だと評判だ。梅川くんとも君の話題で意気投合したんだ」

──そうですか。先生、パソコン操作どちらで躓かれましたか?

「ああ、そうだった。実は──」