リハビリには半月通えていない。

病院の支払いを済ませて、加納のいる喫茶店へ入ると、加納はまだパソコンを睨みつけていた。

──おい、真剣に読んでいるのか? 大まかな流れを掴んでいればいい

俺はメモを添えて、加納のために作成したマニュアルを机の上に置いた。

──加納、引き継ぎ事項は全てマニュアルに記しておいた。しっかり目を通しておけ。不明な点があれば補足する

加納はマニュアルを手に取り、頁を開いた。

「えっ!? これ、結城さんが」

──観るのは後にしろ。行くぞ

加納は鞄にマニュアルを仕舞ったものの、中が気になるのか西村邸に向かう間中、鞄を開けたり閉めたりを繰り返していた。

西村邸に着くと、俺を待ち構えていたように、西村先生が廊下を鳴らし、家政婦を押しのけて出迎えた。

「待っていたよ、結城くん」