「でも実際、結城さんが淹れたお茶は格段に味が違います」

──水分を限られている分、美味しく淹れて飲みたいだけだ

「結城くん、身体の調子はどうだね?」

俺のひと言を重く受け止めたのか、梅川先生は神妙に訊ねた。

「無理をしていないかね?」

──愚問ですね。心配は無用です。俺もじゅうぶん用心していますし、主治医より厳しい監視役が居ますから

「詩乃くんかね?」

──ええ。姉は俺が会長代行をするにあたり、秘書を申し出たんです。自分の仕事を辞めるとまで……

「詩乃くんは余程、君のことが心配とみえる」

──さすがに断りましたけど。勘弁してほしいですね。GPS設定までして、1時間おきにメールしてくるんですよ

「仕方ないですよ。俺が結城さんのお姉さんだったら、やっぱり気になります」